大人のADHDとは?特徴・原因・治療法をわかりやすく解説

「不注意でミスが多い」「話を聞いていないと言われる」——それは性格ではなく“発達特性”かもしれません。今回は、大人のADHDの特徴や診断、治療法について、新宿駅 内科・心療内科クリニックがわかりやすく解説します。

22 April, 2025

ADHDとは:発達障害のひとつであり、生涯にわたり影響し得る脳の特性

ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)は、主に「注意の持続困難」「多動性」「衝動性」の3つの症状群を特徴とする発達障害です。
子どもの頃に気づかれにくかったADHDが、社会生活や職場での要求が高まる大人になって初めて顕在化することも多く、「大人のADHD」として近年注目されています。


ADHDの脳科学的背景:前頭前野と神経伝達物質の関与

前頭前野の働きとADHDの関係

ADHDは「前頭前野(PFC)」と呼ばれる脳の領域の機能不全と関連しています。ここは**注意の制御、ワーキングメモリ、感情調整、実行機能(計画・判断など)**を司る部位であり、ADHDではこの領域の発達や働きに差異があるとされています。

関与する神経伝達物質

主に以下の神経伝達物質の機能異常が報告されています:

神経伝達物質

役割

ADHDとの関係

ドーパミン

報酬系、集中力

低下により注意の持続困難、先延ばし傾向

ノルアドレナリン

覚醒、注意制御

不足により情報選択・集中困難


大人のADHDの症状:子どもと異なり「内在化」しやすい

主な症状分類(DSM-5準拠)

  • 不注意:ミスが多い、物をよく失くす、順序立てた行動が苦手
  • 多動性:落ち着かない、会議中にそわそわする、手遊び
  • 衝動性:話を遮る、衝動買い、人間関係でのトラブル

子どもと大人での違い

項目

子ども

大人

多動

走り回る

内面的な焦燥感、落ち着かなさ

衝動

突然の行動

会話の遮断、失言、人間関係の悪化

不注意

宿題を忘れる

仕事での締切忘れ、重要書類の紛失


ADHDに伴いやすい二次障害:うつ、不安、依存症など

ADHDの本質的な症状よりも、**周囲からの否定的評価や自己肯定感の低下により生じる「二次障害」**が深刻な影響を与えることがあります。

併存しやすい疾患・状態

  • うつ病(20〜30%)
  • 不安障害(30〜40%)
  • アルコール依存・買い物依存
  • 双極性障害(鑑別が重要)

ADHDの診断:単なる“性格の問題”ではなく、医学的な評価が必要

診断ステップ

  1. 問診・発達歴の確認(小児期からの症状の持続)
  2. 心理検査(CAARS、ASRS、WAIS-IVなど)
  3. 鑑別診断(うつ病、適応障害、双極性障害などとの区別)

誤診を避けるために重要な視点

  • 「仕事のストレス」では説明できない広範な不適応
  • 小児期のエピソード(忘れ物、授業中の離席など)の有無

ADHDの治療:脳機能にアプローチする薬物と、行動パターンを変える認知支援

薬物療法(保険適応あり)

薬剤名

主成分

特徴

コンサータ

メチルフェニデート

長時間作用型。注意・集中力の持続に効果

ビバンセ

リスデキサンフェタミン

朝服用で10〜12時間持続。依存性は低い

ストラテラ

アトモキセチン

非中枢刺激系。衝動抑制や感情面にも効果

認知・行動支援

  • タイムマネジメントの訓練
  • 感情調整スキル(アンガーマネジメント等)
  • ADHD向けアプリやToDo管理ツール(例:Todoist, Notion)

家族・職場・パートナーの理解も重要

ADHDは「見た目にはわからない障害」であり、周囲の無理解による二次的な孤立や自己否定が深刻です。

周囲の人ができるサポート

  • 叱るより「行動変化のきっかけ」を共有
  • 指示はシンプルかつ明確に
  • ミスの背景を「怠け」とせず「特性」として理解する視点を持つ

ADHDと社会制度:福祉的支援・合理的配慮の活用

  • 精神障害者保健福祉手帳(一定の条件で申請可能)
  • 障害者雇用枠や就労移行支援の活用
  • 合理的配慮(業務の優先順位づけや作業環境の調整)

まとめ:気になる困りごとは“診断”ではなく“理解と対応”から始めよう

「ミスが多い」「先延ばしばかりしてしまう」——これらは一見“性格”の問題に思われがちですが、実はADHDという脳の特性によるものかもしれません。

当院「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、大人のADHDについて専門的な評価・診断を行っています。
気になる方は、ひとりで悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

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