疲れやすい・寒がり・太りやすい…それ、甲状腺のせいかも?  ― 女性に多い「甲状腺機能低下症」のサインと対策をわかりやすく解説 ―

疲労感、体重増加、むくみ、寒がり…それらは甲状腺機能低下症の兆候かもしれません。橋本病を中心に、検査、診断、治療、日常生活での注意点を内科医が解説します。

24 May, 2025

目次

  1. 甲状腺ってどんな働きをしている?
  2. 甲状腺機能低下症の主な症状
  3. 原因の多くは「橋本病」ってなに?
  4. どんな検査でわかる?診断の流れ
  5. 治療は一生必要?薬の役割と注意点
  6. 日常生活で気をつけること
  7. 甲状腺と妊娠・女性の健康の関係
  8. まとめ

1. 甲状腺ってどんな働きをしている?

甲状腺は首の前側にある小さな器官で、全身の代謝を調整するホルモン(T3・T4)を分泌しています。代謝とは、食べたものをエネルギーに変えたり、体温を一定に保ったりする働きです。このホルモンの分泌が不足すると、全身の働きがスローダウンし、多様な不調を引き起こします。

2. 甲状腺機能低下症の主な症状

以下のような「なんとなく不調」が続く場合、甲状腺機能低下の可能性があります:

症状カテゴリ

具体的な症状

全身症状

疲れやすい、だるい、寒がり

代謝・体重

体重増加、むくみ、便秘

外見・皮膚

脱毛、顔のむくみ、乾燥肌

精神・神経

うつ症状、物忘れ、集中力低下

女性特有

生理不順、不妊、妊娠時リスク

症状は緩やかに現れるため「年齢のせい」や「更年期」と誤解されやすい点に注意が必要です。

3. 原因の多くは「橋本病」ってなに?

橋本病は、自己免疫の異常によって甲状腺が少しずつ破壊され、ホルモンの分泌量が低下する病気です。日本人女性に特に多く、40〜60代に多く見られます。

  • 初期には無症状のことも多く、検診で発見されるケースも
  • ゆっくり進行するため、気づかれにくい
  • 他の自己免疫疾患(膠原病など)と併発することもあります

4. どんな検査でわかる?診断の流れ

甲状腺ホルモンの血液検査が基本です。以下のような結果になります

検査項目

異常の特徴

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

上昇

FT3・FT4(遊離型ホルモン)

低下

抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体

橋本病で陽性になる

超音波検査

腫れ・萎縮・内部構造を確認

5. 治療は一生必要?薬の役割と注意点

甲状腺機能低下症の治療の基本は、ホルモンを補充する「チラーヂンS」などの薬を内服することです。

  • ホルモン補充により症状は数週間〜数か月で改善します
  • 血中ホルモン濃度を定期的にチェックしながら量を調整
  • 自己判断での中止は禁物(症状が再発し、重症化する可能性あり)

6. 日常生活で気をつけること

  • 食事:ヨウ素の過剰摂取は症状を悪化させる場合がある(昆布、わかめなど)
  • 運動:疲れすぎない範囲での軽い運動(ストレッチやウォーキングなど)
  • 定期通院:血液検査と医師の診察でコントロールが重要
  • 睡眠とストレス管理:自律神経の乱れはホルモン分泌にも影響

7. 甲状腺と妊娠・女性の健康の関係

  • 妊娠希望の女性は特に注意が必要。甲状腺ホルモンは胎児の発育に不可欠です。
  • 無治療のまま妊娠すると、流産・早産・胎児の発達遅延のリスクが増加
  • 妊娠中はホルモン需要が増えるため、薬の調整が必要
  • 出産後に一時的な甲状腺炎(産後甲状腺炎)が起こることもあり注意が必要

8. まとめ

甲状腺機能低下症は"見えない不調"として日常に現れます。特に女性に多く、橋本病が原因のことがほとんどです。治療はシンプルで、症状の改善が期待できます。「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、血液検査・超音波・薬の処方までトータルに対応しています。不調を放置せず、まずはお気軽にご相談ください。

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