健康診断で「コレステロールが高い」と言われたら読む記事 ― LDL?HDL?脂質の異常を放置すると命に関わることも ―
脂質異常症と診断された方へ。コレステロールや中性脂肪の数値の意味、放置リスク、薬物療法、食事や運動による改善策まで、内科医がわかりやすく徹底解説します。
23 May, 2025
目次
- 脂質異常症とは何か?
- 放置するとどうなる?動脈硬化との関係
- 脂質異常症の検査と数値の見方
- 治療の流れと薬物療法
- 食事と運動でできる改善策
- よくある質問と誤解
- まとめ
1. 脂質異常症とは何か?
脂質異常症とは、血液中の脂質(LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなど)が基準値から外れた状態です。
種類 | 異常内容 | 基準値の目安 |
---|---|---|
LDL(悪玉) | 高すぎると危険 | 140mg/dL未満 |
HDL(善玉) | 低すぎると危険 | 40mg/dL以上 |
中性脂肪 | 高すぎると危険 | 150mg/dL未満 |
自覚症状がほぼないため、健康診断で初めて指摘されることが多い病気です。
2. 放置するとどうなる?動脈硬化との関係
脂質異常症は血管内にプラーク(脂肪のかたまり)を形成し、動脈硬化を進行させます。
放置すれば以下のような病気のリスクが高まります:
- 心筋梗塞・狭心症
- 脳梗塞・脳出血
- 大動脈瘤・末梢動脈疾患(PAD)
3. 脂質異常症の検査と数値の見方
健康診断や血液検査で、以下の数値を確認します:
- 総コレステロール(TC)
- LDLコレステロール(悪玉)
- HDLコレステロール(善玉)
- 中性脂肪(TG)
必要に応じて空腹時採血やアポ蛋白検査、動脈硬化の進行度を測る頸動脈エコー検査なども行います。
4. 治療の流れと薬物療法
まずは生活習慣の改善
- 食事・運動・禁煙が基本
- 3~6か月で改善が見られなければ薬の検討
主な治療薬
- スタチン系薬(LDLを下げる)
- フィブラート系薬(中性脂肪を下げる)
- EPA製剤(抗炎症・中性脂肪改善)
5. 食事と運動でできる改善策
- 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を控える(脂身、バター、揚げ物)
- 魚、豆製品、野菜、食物繊維を意識的に摂取
- 有酸素運動(週150分以上)
- BMI25未満を目標に減量
6. よくある質問と誤解
- 「痩せているのに脂質異常症?」 → 遺伝的要因や加齢でも起こります
- 「薬を飲み始めたら一生?」 → 生活改善次第で減薬や中止も可能
- 「HDLが高ければ安心?」 → HDLが高くてもLDLやTGが高ければリスクあり
7. まとめ
脂質異常症は「静かに進む血管の病気」です。無症状でも放置せず、数値を正しく理解し、必要に応じて治療と生活改善を進めましょう。「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、血液検査から治療指導まで幅広く対応しています。