心身症に対する漢方治療の可能性とは?――自律神経と“気・血・水”の視点から読み解く

頭痛、腹痛、めまい、不眠……身体症状が続くのに検査では異常がない。そんな「心身症」に対して、漢方薬はどのようにアプローチできるのか?西洋医学とは異なる視点を活かした心療内科での活用例を紹介します。

28 May, 2025

漢方薬は「こころ」と「からだ」を同時にみる医学

現代医療では、心身症(心理的要因によって身体症状が引き起こされる病態)に対して、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などの処方が一般的です。しかし、身体症状が強いものの検査では異常が出ないケースでは、患者さんに「薬を飲んでも良くならない」と感じさせることもあります。

そこで注目されるのが、漢方薬による治療です。漢方は“気・血・水”という伝統的な概念で心身をとらえ、西洋医学とは異なるロジックで治療にあたります。


心身症とは? ――見えないストレスが体を蝕む

心身症に分類される症状は多岐にわたります。代表的なものは以下の通りです。

症状カテゴリ

主な症状の例

消化器系

食欲不振、胃痛、下痢、便秘

循環器系

動悸、息切れ、胸の違和感

神経系

頭痛、しびれ、めまい

婦人科系

月経不順、PMS、不正出血

睡眠関連

入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒

心療内科では、これらの症状の背景にある「ストレス」や「生活リズムの乱れ」「性格傾向」なども丁寧に探っていきますが、なかなか改善しないケースもあります。


「気の巡り」や「瘀血(おけつ)」を改善する漢方薬

漢方では、心身症の多くは「気滞(きたい:気の巡りの滞り)」「瘀血(おけつ:血の流れの滞り)」「水毒(すいどく:体内の水分代謝異常)」などが関与していると考えられます。

漢方的診断と対応の一例:

病態(漢方的)

特徴

主な処方例

気滞

喉のつかえ、ため息、イライラ

半夏厚朴湯、加味逍遙散

瘀血

慢性頭痛、月経痛、肩こり

桂枝茯苓丸、桃核承気湯

水毒

めまい、浮腫、吐き気

五苓散、苓桂朮甘湯

症状や体質に応じて処方を調整することで、西洋薬では対応が難しかった症状の改善が見込めることもあります。


西洋医学との併用が効果的なケースも

漢方薬は単独でも効果を発揮しますが、抗うつ薬や抗不安薬との併用により、症状の相乗的改善が見られるケースもあります。特に「不安・抑うつ気分は軽いが身体症状が強い」タイプには、漢方治療が真価を発揮することが少なくありません。


「なんとなく不調」の正体に迫る診療を――新宿駅 内科・心療内科クリニックの取り組み

当院では、身体症状が続くものの「原因がはっきりしない」といったケースに対して、西洋薬だけでなく、必要に応じて漢方治療も選択肢としてご提案しています。患者さん一人ひとりの体質やストレス背景を丁寧に把握した上で、オーダーメイドの治療を心がけています。


まとめ:漢方は“未病”にも有効な柔軟なツール

「検査では異常がないけれど、つらい」。そんな訴えにこそ、漢方の視点が力を発揮します。漢方薬は「心と体」のバランスを整え、ストレスに負けない体づくりをサポートしてくれる存在です。心身症でお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。

WEB予約問い合わせアクセス
アクセス
内科
内科予約
心療内科心療内科予約
診療時間
お問い合わせ