「体がだるい」「胃が痛い」は心のサイン?“仮面うつ”の見逃しに注意
日常的な体調不良が、実は「うつ病」のサインかもしれないことをご存じですか?“仮面うつ”と呼ばれる身体症状中心のうつ病は見逃されやすく、早期発見が重要です。心療内科での診療の実際やセルフチェックのポイントも交えながら詳しく解説します。

体の不調が続くのに、検査では「異常なし」?
「なんとなく体がだるい」「胃がキリキリする」「朝起きられない」などの体調不良が長く続いているのに、内科や消化器科で検査を受けても「特に異常は見つかりません」と言われたことはありませんか?
実はこのようなケースで注目すべきなのが、“仮面うつ病”という概念です。うつ病というと「気分の落ち込み」や「やる気の低下」など心の症状が目立つイメージがありますが、実際には体の症状が前面に出るタイプも少なくありません。
特に、仕事や家庭で責任感の強い方、几帳面な性格の方は、「落ち込む暇もない」「気分ではなく体がつらい」と感じやすく、心の不調を見逃してしまいがちです。
“仮面うつ”とは?
“仮面うつ”とは、医学的には「身体症状性のうつ病」や「身体表現性障害を伴ううつ病」とも呼ばれます。文字通り、うつ病の“仮面”をかぶって、本人も周囲もその正体に気づかないことが多いのが特徴です。
よく見られる身体症状の例:
- 慢性的な倦怠感、疲れやすさ
- 食欲不振、胃の痛みや不快感
- 頭痛、肩こり、筋肉痛
- 動悸や息苦しさ、めまい
- 便秘や下痢などの消化器症状
- 月経異常、性欲の減退
- 睡眠障害(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)
これらの症状が複数重なり、数週間〜数か月続いている場合には、うつ状態の可能性を考慮すべきです。
見逃されやすい理由とは?
“仮面うつ”が見逃されやすい理由には、以下のような要因があります。
- 本人が「心の病気」と思っていない:心の不調というより「体が悪い」と感じているため、精神的なサポートを求めづらい。
- 周囲も気づきにくい:表情や言動に「落ち込んでいる様子」が見られないため、仕事や家庭でも気づかれにくい。
- 医療機関の分担:最初に内科にかかることが多く、精神面まで診る体制が整っていないケースも。
- 身体症状の訴えがリアル:痛みや不快感がはっきりしており、心因性と認識されづらい。
仮面うつ自己チェックリスト(簡易版)
以下に該当する項目が多いほど、“仮面うつ”の可能性があります。
- □ 原因不明の体調不良が1か月以上続いている
- □ 複数の症状が入れ替わり現れる(胃痛→頭痛→めまいなど)
- □ 内科では「異常なし」と言われた
- □ 気分の落ち込みや無気力も少しあるが、体の症状がつらい
- □ よく眠れず、朝から疲労感が強い
- □ 周囲に「頑張り屋」「責任感が強い」と言われる
- □ リラックスできる時間がほとんどない
3つ以上当てはまる場合は、心療内科の受診を検討してください。
心療内科の役割:身体と心の両面からのアプローチ
“仮面うつ”のように、身体症状が前面に出るケースでは、心療内科が重要な役割を果たします。当院「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、内科的評価と心理的評価の両方を行い、患者さんの背景や生活状況まで含めた包括的な診療を行っています。
診療の流れ:
- 身体症状に対する医学的評価(必要に応じて採血・心電図など)
- 心理的ストレスや気分の評価(問診、心理検査、SDSなど)
- 治療計画の提案(薬物療法・認知行動療法的アプローチ・生活改善の支援など)
また、必要に応じて職場への診断書の発行、休養の提案、復職支援なども行います。
放置することで生じるリスク
“仮面うつ”を見過ごし、放置してしまうと症状が悪化するだけでなく、
- 不登校や休職、離職につながる
- 過量服薬や自傷行為につながる
- 身体疾患との合併によりQOLが著しく低下する
- 家族関係・職場関係の悪化
といった深刻な事態にも発展しかねません。
まとめ:体のサインを見逃さないために
体調不良が続いているのに原因が見つからない場合、心の不調が隠れているかもしれません。
- 「検査では異常なし」に納得できないとき
- 複数の身体症状が長期化しているとき
- 以前に比べて気力・集中力が落ちていると感じるとき
- 誰にも相談できず一人で抱えているとき
そんな時は、ぜひ心療内科の受診を検討してください。当院「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、身体と心の両面から丁寧にサポートいたします。