感染性胃腸炎が再び増加傾向? ~夏型ウイルスとその予防法を徹底解説~
夏場に多い感染性胃腸炎が再び増加傾向にあります。エンテロウイルスやノロウイルスなど、夏型ウイルスの特徴と感染予防策について、内科的視点で詳しく解説します。
目次
- 夏に流行する感染性胃腸炎とは?
- 主なウイルスの特徴と症状
- 感染経路と流行の背景
- 内科での診療と対応
- 予防のためにできること
- 感染後の対応と家庭内ケア
- まとめ
1. 夏に流行する感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が腸に感染することで起こる急性の胃腸炎です。夏に多い「夏型胃腸炎」は、気温・湿度の上昇によって病原体が増殖しやすくなることが一因とされます。冬場のノロウイルスと異なり、エンテロウイルスやアデノウイルスなどが夏の主因です。
2. 主なウイルスの特徴と症状
ウイルス名 | 主な症状 | 特徴 |
---|---|---|
エンテロウイルス | 発熱、嘔吐、下痢、咽頭痛 | 夏に流行。手足口病やヘルパンギーナの原因にもなる |
アデノウイルス(胃腸型) | 高熱、下痢、結膜炎 | プール熱の原因にも。高熱が数日続くことが多い |
ノロウイルス(夏型) | 嘔吐、下痢、腹痛 | 冬以外の季節にも発生。汚染食品や接触で感染 |
特に乳幼児や高齢者では重症化しやすく、脱水症に注意が必要です。
3. 感染経路と流行の背景
感染経路 | 説明 |
---|---|
経口感染 | 汚染された水・食品・手指からの摂取が主な感染経路 |
接触感染 | タオル、食器、ドアノブ、トイレなどを介して広がる |
飛沫感染 | 嘔吐の際の飛沫が口や目に入ることで感染することも |
2024年以降は、マスク生活の緩和や旅行・イベントの増加により、家庭・学校・施設での集団感染が再び増加しています。
4. 内科での診療と対応
- 診断のポイント:
- 発症状況と周囲の流行状況を把握
- 必要に応じて血液検査や抗原検査
- 治療の基本:
- 水分・電解質の補給(経口補水液、必要なら点滴)
- 嘔吐・下痢に対する対症療法(整腸薬、制吐薬)
- 重症例・ハイリスク層:
- 乳幼児、高齢者、持病のある方では脱水や電解質異常に注意
- 意識障害や高熱、排尿減少などは早急に受診を
- 感染拡大の防止:
- 家族内感染予防として、トイレの清掃・嘔吐物の適切処理・リネン類の分別が重要です
5. 予防のためにできること
対策項目 | 実践方法 |
---|---|
手洗い | 石けんと流水で30秒以上洗う。特にトイレ後・食前・外出後 |
消毒 | 嘔吐物・下痢便の処理には0.1%次亜塩素酸ナトリウム使用 |
食品衛生 | 食材は十分に加熱(中心温度75℃以上)し、冷蔵保存も徹底 |
水分補給 | 感染予防にも重要。こまめな水分・塩分補給を心がける |
感染時の行動 | 出勤・登園は医師の指示があるまで控える(目安:症状消失後24〜48時間) |
保育施設や医療・介護施設では、感染者の隔離とスタッフの衛生教育も不可欠です。
6. 感染後の対応と家庭内ケア
- 嘔吐や下痢が収まっても、ウイルスの排出は数日続くため注意が必要です。
- 感染者専用のタオル・コップ・箸を用意し、こまめに洗濯・消毒を。
- 回復後もしばらくは消化の良い食事を中心に。無理に通常食に戻さないことが再発防止につながります。
- 家族への感染拡大を防ぐため、看病時にはマスク・手袋の着用を徹底しましょう。
7. まとめ
夏に多い感染性胃腸炎は、冬とは異なるウイルスが原因で、対処方法や予防のポイントも異なります。嘔吐や下痢があっても「ただの夏バテ」と見過ごさず、適切な対応をとることが重要です。家庭内の感染予防と早期の内科受診が、重症化と二次感染のリスクを減らします。
新宿駅 内科・心療内科クリニックでは、迅速な診断と点滴治療、家庭内感染予防のアドバイスも行っています。体調が優れないときは、早めにご相談ください。