健康診断で肝機能異常を指摘されたらどうする?― AST、ALT、γ-GTP、何がどう異常なのか、医師がわかりやすく解説 ―

健康診断でAST、ALT、γ-GTPの数値が高いと指摘された方へ。放置すると肝硬変や肝がんにつながるリスクも。肝機能検査の見方から原因、受診・検査・生活改善まで内科医が丁寧に解説します。

23 May, 2025

目次

  1. はじめに
  2. 肝機能検査で見られる主な数値
  3. 考えられる主な原因とは?
  4. 放置するとどうなる?
  5. 受診のすすめと精密検査の内容
  6. 生活習慣で改善できるケースも多い
  7. まとめ

1. はじめに

健康診断で「肝機能に異常があります」と言われたものの、何をどうすればよいのか分からないまま放置していませんか?肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるほど、異常があっても症状が出にくい臓器です。この記事では、肝機能検査で異常を指摘されたときの考え方と、次にとるべき行動を内科医の視点から解説します。


2. 肝機能検査で見られる主な数値

検査項目

基準値の目安

主な意味・異常時の原因

AST(GOT)

≤30 IU/L

肝細胞障害、心筋障害、筋肉疾患など

ALT(GPT)

≤30 IU/L

肝細胞障害、脂肪肝、ウイルス性肝炎など

γ-GTP

≤50 IU/L

アルコール性障害、胆道系疾患、薬剤性肝障害

ASTとALTの上昇は肝臓の細胞がダメージを受けていることを示し、γ-GTPの上昇は飲酒や胆道系への影響を示す指標です。


3. 考えられる主な原因とは?

  • 飲酒習慣の影響:γ-GTPが高い場合、アルコール性肝障害の可能性。
  • 脂肪肝・NASH(非アルコール性脂肪肝炎):肥満や糖尿病との関連が強く、ALTが優位に高くなりやすい。
  • ウイルス性肝炎(B型・C型):健診で見つかることも多く、ALT上昇が持続。
  • 薬剤性肝障害:一部の市販薬やサプリメントでも上昇することがある。

4. 放置するとどうなる?

肝機能異常は自覚症状が出にくい一方で、放置して慢性化・重症化すると以下のような事態に陥る可能性があります:

  • 慢性肝炎→肝硬変→肝がんへと進行
  • アルコール性肝障害が進行すると黄疸や腹水が出現
  • 脂肪肝の背景に糖尿病や高血圧などの生活習慣病が隠れているケースも

5. 受診のすすめと精密検査の内容

健康診断で異常を指摘されたら、以下のような追加検査を受けましょう:

検査内容

目的

空腹時再採血

数値の再確認と変動の把握

腹部エコー

肝臓の脂肪沈着・腫瘤・胆石などの確認

HBs抗原/HCV抗体検査

B型・C型肝炎のスクリーニング

その他(必要に応じてCTやMRI)

詳細な画像診断や腫瘍評価


6. 生活習慣で改善できるケースも多い

  • 禁酒または節酒:γ-GTPの改善に直結
  • 食事改善(糖質・脂質制限)と運動:脂肪肝の改善に有効
  • 減量・内臓脂肪の減少:ALT・ASTの改善に貢献

肝機能異常の多くは、生活改善でコントロールが可能な段階で発見されます。


7. まとめ

肝臓は症状が出にくいため、健診での指摘は重要な"サイン"です。原因の精査と再評価を早めに行い、必要であれば生活改善とあわせた継続的なフォローを受けましょう。「新宿駅 内科・心療内科クリニック」では、肝機能異常に対する検査と生活指導を丁寧に行っています。検査結果に不安を感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

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