発熱=感染症とは限らない? 夏に増える「熱中症による発熱」と正しい見分け方
夏に起こる発熱は、感染症だけでなく「熱中症」が原因のことも。熱中症による発熱の特徴、感染症との見分け方、すぐに受診すべき症状、自宅でできるケア方法について解説します。新宿駅 内科・心療内科クリニックの医師が解説。
目次
- 夏の発熱=すべて感染症ではない
- 熱中症による発熱の特徴とは?
- 感染症との違いを見極めるポイント
- こんな症状があればすぐに受診を
- 自宅での応急処置と予防法
- 医師からのアドバイス
1. 夏の発熱=すべて感染症ではない
気温や湿度の高い日本の夏。毎年、外来では「熱が出た」と訴える患者さんが増えます。しかし、そのすべてがウイルスや細菌による感染症とは限りません。
とくに近年増えているのが、「熱中症による体温上昇(中枢性高体温)」です。これは感染による発熱とは異なるメカニズムで起こるため、対応法も違います。
2. 熱中症による発熱の特徴とは?
熱中症による体温上昇は、「体の冷却機能の破綻」によって起こります。ポイントは以下の通りです:
項目 | 熱中症による発熱 | 感染症による発熱 |
---|---|---|
発症のきっかけ | 炎天下や高温多湿の屋内 | ウイルスや細菌感染 |
発熱の性質 | 急激で持続的 | 徐々に上がることが多い |
他の症状 | 頭痛・めまい・倦怠感・発汗停止 | 咽頭痛・咳・鼻水など部位特異的症状 |
発汗 | 初期は多い→重症化で止まることも | 強い変化は見られない |
意識障害 | 重症時に見られる | 基本的にはない |
3. 感染症との違いを見極めるポイント
自宅で判断が難しい場合もありますが、以下のような点を意識すると区別の手がかりになります:
- のどの痛みや咳、鼻水などの局所症状があれば感染症を疑う
- 発熱前後に強い日差しを浴びていた、屋外作業していた場合は熱中症の可能性が高い
- 38℃以上の高体温が持続し、冷やしても下がらない場合は中枢性発熱の可能性
4. こんな症状があればすぐに受診を
以下のような症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください:
- 体温が39℃以上で持続し、解熱剤が効かない
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が鈍い
- 発汗がなく、喉や皮膚が乾いている
- 嘔吐や下痢が続いて水分が摂れない
- 高齢者や基礎疾患のある方で全身状態が悪い
5. 自宅での応急処置と予防法
応急処置のポイント
- 涼しい場所へ移動
- 衣類をゆるめ、体表を冷やす(首、脇、足の付け根など)
- 経口補水液などで水分・電解質を補給
- 扇風機や冷房で室温を下げる
予防法のチェックリスト
項目 | チェック |
---|---|
室温28℃以下に保っている | □ |
水分を1日1.5L以上摂っている | □ |
外出時は帽子や日傘を使っている | □ |
高温時は無理せず屋内で休む | □ |
朝食を抜かずにしっかり食べる | □ |
6. 医師からのアドバイス
夏場の発熱=感染症と思い込み、不要な抗菌薬の処方や医療機関の混雑を招くケースが増えています。
特に高齢者では熱中症の自覚が乏しく、軽症でも油断は禁物です。
体調がすぐれない時は、「いつ・どこで・何をしていたか」を振り返り、正確な判断につなげましょう。
必要なときには、新宿駅 内科・心療内科クリニックにご相談ください。